ご自宅でお子さんと一緒に過ごすために、ご利用できるさまざまなサービスがあります。サービスには市区町村独自のものもあり、お住まいの地域によって利用できるサービスが異なることも多いです。また同じ地域にお住まいでもお子さんの年齢や状態、世帯の所得状況等で利用できるサービスが違うこともあります。
そのため、「自分の子ども(家)の場合は何が利用できるのかな?」ということを、お住まいの市区町村の「子育て支援」や「障がい福祉」の窓口でご相談されることをおすすめします。各窓口では、お子さんの病気や障がいの状況から、家で生活をするために必要な社会資源の情報提供をしてくれたり、各サービスを利用する上での申請窓口になっていたりします。
居宅介護(ホームヘルプサービス)
ご自宅にヘルパーが訪問し、食事や入浴、排泄などのお手伝いをしてくれます。また外出時の介助も可能であり、通院時に介助ヘルパーを利用されている方もいらっしゃいます。
訪問入浴
ご自宅のお風呂に入ることが困難なお子さんの場合、訪問入浴車がご自宅に来て介助員による入浴サービスを受けることができます。
リフト付き車両サービス
日常的に車椅子を利用されている障がいのあるお子さんの場合、公共のバスや電車での移動が難しいことも多いようです。そんな時、リフト付車両を利用することができます。費用はおおむね一般タクシーと同じですが、手帳による割引や、自治体によってはタクシー料金よりも安く利用できる場合もあります。
住宅改修
家の中の段差を解消することで、車椅子のお子さんが自分で室内移動ができるようになったり、お風呂場に手すりを付けることで安心して介助ができるようになったり・・・。家の中の段差解消や手すりの設置は、学齢児以上のお子さんで身体障害者手帳をお持ちの場合、制度を利用して改修費用の助成を受けられる可能性があります。
児童発達支援サービス(療育センター、通所施設)
遊びや作業を通して日常生活動作を習得したり、集団生活に適応するための訓練を受ける場所です。施設によりますが、乳幼児期から未就学の障がいのあるお子さんを主に対象としていたり、障がいがある18 歳未満のお子さんが対象の施設もあります。施設には、医師やリハビリ療法士などから専門的な訓練や指導を受けることができます。
放課後等デイサービス
放課後や、夏休み・冬休みなど余暇活動の場として利用できる施設です。学校教育法に規定する学校(幼稚園、大学を除く)に就学している障がいがあるお子さんが対象です。
短期入所施設・日中一時支援
障がいがあるお子さんを介護されているご家族の方が、さまざまなご事情から一時的にお世話ができない場合、お子さんをあずける場所です。お子さんには日中活動の場が提供され、ご家族にとっては休息の時間ともなり、介護の負担軽減を図る目的もあります。
教育に関すること
「どこの学校に行かれるのかな?」「通学は誰が助けてくれるの?」など就学にむけての心配事は、各教育委員会が相談窓口となっています。場合によっては、訪問級というかたちで学校の先生が自宅で授業をしてくれます。
兄弟児のサポート
入院や通院でご家族が病院に来ている間、幼いご兄弟をあずかってもらえるサービスがあります。ファミリーサポートサービスと呼ばれるものや、保育園での一時あずかりなどです。
ご自宅に帰る準備には何が必要でしょうか?
ご自宅に帰る準備でとても大切なこと、それはお子さんを迎えるご家族の「お気持ち」だと考えています。退院が決まって嬉しいと思う反面「看護師さんと同じようにケアをする自信はないな」とか、「昼間一人でこの子を看るのは心配だな」などいろいろなお気持ちを抱いていることと思います。でも、どうぞご家族自身の中に抱いているそのお気持ち・思いを否定しないで大事にしてください。いろいろなことを不安に感じたり戸惑われることはとても自然なことです。そしてその思いをどうぞ病院のスタッフに伝えてください。
お父さんやお母さんが心配や不安に思っていることを、病院のスタッフも一緒に考えていくことが、ご自宅に帰るための“はじめの一歩”だと思います。きっと、お父さんやお母さんが少しでも安心できることは、お子さんが安心してご自宅に帰れることにもつながります。少しでも安心できる環境づくりは、とてもとても大切なことだと思っています。
具体的な準備としては大きく分けると3つあります。
その他にも、通院時の交通手段や緊急時の対応など、ご家族同士または病院のスタッフと確認をしておくことが必要なこともあります。でも全部がきちんと決まっていなくても大丈夫です。家で生活をしながら試行錯誤のなかから、お子さんとそのご家族らしい生活スタイルができあがるのかなとも思っています。
ご自宅に帰ることをお手伝いしてくれる人たち
多くの病院に退院準備をお手伝いしてくれる医師・看護師・その他コメディカルスタッフとソーシャルワーカーがいます。
病院では、お父さんやお母さんのお気持ちをうかがいながら、ご家族とともに考え、ご自宅でのケア方法や利用可能なサービスの情報を教えてもらうことができます。
また病院からお住まいの地域の訪問看護師さんや保健師さんとも連絡を取りながら、少しでも安心できる療養環境づくりのサポートを受けることができます。
ご自宅に帰られてからは、地域に保険師やケースワーカー、相談支援専門員と呼ばれる人たちがいます。お住まいの地域で利用できるサービスや手続き方法などさまざまな情報を教えてくれることと思います。実際に、訪問看護師さんやヘルパーさんなどがご自宅にサポートに来て、お子さんのケアを行ってくれます。
そのほかにも、訪問診療医・理学療法士・作業療法士・訪問歯科診療医・訪問薬剤師・ボランティアさんなどさまざまな方にお手伝いをしてもらっている方もいます。
具体的にご自宅で生活するために必要なもの
診療材料品
吸引や経管栄養をはじめとする医療的ケアにチューブやシリンジなどが必要な場合には、かかりつけの医療機関にご相談ください。
日常生活用具
車椅子、特殊寝台、吸引器などの購入は、身体障害者手帳やほか福祉制度を利用することで購入費用の助成が受けられることがあります。
人工呼吸器や在宅酸素
これらの器機がご自宅でも必要なお子さんは、専門の業者がご自宅に設置してくれます。